2020/8/28
帽子刺繍
OTTO(オットー)やNEWERA(ニューエラ)に挑んでみた
フラットタイプの帽子は難しい
こんにちは、本日の精研ブログを担当いたします大森です。
よろしくお願いします。
新規でお問い合わせ頂くお客様でやりたい刺繍加工内容を伺うと帽子に刺繍をしたいという要望を多く聞きます。
刺繍入りの帽子でよく見るのがベースボールキャップ
その中でもツバがピンと真っすぐなOTTO(オットー)やNEWERA(ニューエラ)と言われる種類のフラットタイプのキャップが巷で人気です。
実はこの帽子は通常のベースボールキャップ(つばが曲がっているタイプ)に比べ刺繍加工難易度が高いのです。
大きな点として加工制限が出てきます。
機種によっても制限の度合いも違いますのでその辺りの詳細をご紹介致します。
彩で縫ってみた
エントリーモデル
MDP-SC 通称「彩-SAI-」
メーカーHPはこちら →
ここ
それではまずエントリーモデルの彩でフラットタイプの帽子をセットしてみました。
加工の制限、つまりは刺繍の加工範囲が通常のキャップより狭いということです。
なぜかというと帽子のツバに近い部分、つまり下部から縫うためにはセットされた帽子を手前に移動させなければなりません。
通常もう少し奥から縫うことが可能なんですがフラットタイプの帽子は画像の位置の辺りからしか刺繍できません。
理由として画像の通りこれ以上帽子の下部から加工したい場合、帽子を取り付けたアタッチメントを移動させるのですがこれ以上移動すると帽子のツバが刺繍機の裏にぶつかってしまうのです。
このまま無理に移動させるとぶつかってしまいツバが曲がり、刺繍機が動き出すと帽子のツバと刺繍機の裏側が擦れて帽子のツバに傷がついてしまいます。
想像してください。
お客さんに刺繍入りの帽子を販売した後・・・
帽子のツバに傷がついているから返品の要求をされた時・・・
嫌ですよね。
そうして傷がつかない位置で加工した帽子がこちらになります。
TMBP-SCで縫ってみた
スタンダードモデル
TMBP-SC
メーカーHPはこちら →
ここ
先ほどはコンパクトモデルの彩で加工しましたが、上位機種のスタンダードモデルTMBP-SCならどうなのか試してみましょう。
セットしてみると帽子の加工位置が
彩に比べて更に下(奥)に刺繍することが可能です。
彩より帽子のツバがぶつかって曲がっているのかというとそうではありません。
刺繍機の裏側の構造上、TMBP-SCの方が角度の違いにより彩より帽子の下部に加工が可能となっているのです。
彩とTMBP-SCで刺繍加工した帽子がこちらです。
左の帽子(彩)
右の帽子(TMBP-SC)
比較すれば紹介した画像より一目瞭然なのがわかります。
上の加工範囲はほぼ同じなのでTMBP-SCの方が加工範囲が大きいことがわかります。
ここから先はお問合せ下さい。
実際にフラットタイプの帽子を刺繍されているユーザーも増えています。
前回の記事の「3D刺繍」も人気でフラットタイプの帽子に「3D刺繍」を施しているユーザーも多いです。
「3D刺繍」記事はこちら →
ここ
今回紹介した加工制限の問題もさることながらもう一点フラットタイプの帽子が加工難易度が高い要因があります。
それは素材的に硬くてしっかりしてるので針折れのリスクが高いことです。
実際、帽子の刺繍を専門にしている加工業者さんに聞いた話ですが
フラットタイプの帽子は刺繍加工できるが刺繍し辛いとのこと。
では世に出回っている刺繍入りのフラットタイプの帽子を見たときに画像よりツバに近い(下)ところから縫っているものがあるけどもこれはどうしているのか。
このテクニックを知りたい方は精研までお問い合わせください。
実情として刺繍機を設計・開発する段階で全ての素材に対応するのは不可能です。
まして今後の流行りによっては今まで見たこともない素材に刺繍の需要が高まるかもしれません。
それが機械刺繍で加工可能かどうかは随時試してみるしかありません。
メーカーのタジマ工業は勿論、精研も加工できるようにするためにはどうしたらいいかを日々研鑽しています。